化学発光基質 SignalBright(シグナルブライト)

プロテインテックは新シリーズとなる高感度化学発光基質「SignalBright(シグナルブライト)」を発売しました。 「SignalBright Pro(プロ)」「SignalBright Plus(プラス)」「SignalBright Max(マックス)」は、fg(フェムトグラム)レベルのタンパク質の検出に最適な化学発光基質です。 各基質の適切な選択には比較表をご覧ください。

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シグナル生成について

WB(ウェスタンブロット)の実験で目的タンパク質と結合した抗体を検出するためには、シグナル生成システムが必要となります。 WBでシグナルを生成させる最も一般的な方法は、HRP(HRP:horseradish peroxidase、西洋ワサビペルオキシダーゼ)酵素を標識した一次抗体または二次抗体を使用し、過酸化水素バッファー存在下でルミノール試薬を基質として発光シグナルを得る方法です(図1)。 この酵素と基質の組み合わせは、酵素反応中にのみ発光し、その後シグナル強度は減衰します。

Signal generation in chemiluminescent western blotting

図1. 化学発光WBにおけるシグナルの発生原理。 HRP標識二次抗体は、HRPの基質であるルミノールを酸化させる際に副産物として生じる発光を利用して、目的タンパク質を検出します。

SignalBrightシリーズ(プロ、プラス、マックス)の比較表

Comparison table of Proteintech's SignalBright enhanced chemiluminescent substrate

SignalBright Pro(カタログ番号:PK10011)、SignalBright Plus(カタログ番号:PK10012)、SignalBright Max( カタログ番号:PK10013 )は、シグナルの持続可能な時間と感度が異なります(上表参照)。 SignalBrightは、検出感度が高く、操作が簡便で、シグナル検出可能な時間が長く、他社製品よりも優れたパフォーマンスを示します。

Comparison of Proteintech's SignalBright Enhanced Chemiluminescent Substrate

図2. SignalBright Pro(カタログ番号:PK10011)、SignalBright Plus(カタログ番号:PK10012)、SignalBright Max( カタログ番号:PK10013)のシグナル比較(段階希釈したHeLa細胞ライセートを使用)。 一次抗体:β-catenin( カタログ番号:51067-2-AP、希釈倍率1:20,000)、二次抗体:HRP標識ヤギ抗ウサギIgG(H&L)抗体(Quanta BioDesign社、品番:11-0201-0503、希釈倍率1:100,000)、露光時間:30秒。

低濃度タンパク質や貴重なサンプルの検出

WB法の利点の1つは、サンプル中の発現量が低いタンパク質を高感度に検出できることです。 そのため、少量の貴重なサンプル(疾病を抱える患者由来の組織等)にも用いられることがあります。

このような場合、WBワークフローを調整して、発現量の低いタンパク質でも再現性良く正確に検出できるようにする必要があります。 解決策の1つとして、プロテインテックのSignalBright(シグナルブライト)シリーズをはじめとする「高感度基質」の使用も選択肢になります。

抗体検証&濃度の重要性

SignalBright Plus(カタログ番号:PK10012)等の高感度化学発光基質を使用する場合、使用する一次抗体のターゲットに対する特異性が十分に検証され、確実性が高いことが非常に重要となります。 プロテインテックの抗体は、業界最高水準の検証試験を実施し、厳格な生産体制のもと製造されており、ターゲットタンパク質に対する高い特異性と強い親和性を有します。 そのため、使用する抗体とオフターゲットタンパク質との非特異的結合は最小限となり、目的タンパク質を特異的に検出します。

SignalBright Plus(カタログ番号:PK10012)等の高感度化学発光基質を使用して発現量の低いタンパク質を検出する場合、一次抗体や二次抗体の濃度も非常に重要です。 一般的に推奨される解決策とは異なるかもしれませんが、発現量の低いタンパク質を検出するために抗体濃度を高くしても感度は改善しません。 高感度基質を使用している場合では、実際には逆効果となり、シグナルが急速にサチュレーション(飽和)を起こしてバックグラウンドが高くなり、目的タンパク質の効果的な検出が困難になります。 SignalBrightを使用する実験でシグナルの過飽和を回避するために最適化を行う場合、実験開始時は一次抗体および二次抗体のメーカー推奨濃度に従って初期検討を実施してください。

シグナル強度&持続時間

考慮すべき重要な要素の1つとして、シグナル強度とその持続時間が挙げられます。 この要素は、使用する基質の種類や標識酵素量によって大きく変動します。 HRPの過剰な添加は、シグナルの減衰が早くなることに加えて、シグナル強度のばらつき、高いバックグラウンド、感度の低下等の問題を引き起こします。 そのため、高品質な基質の使用と最適なHRP標識抗体濃度の検討は、発光時間を長く持続させると共に、再現性の高い結果につながります。

プロテインテックのSignalBrightシリーズは、明るい安定したシグナルを最大5時間以上生成します。 SignalBright基質により得られる長時間安定したシグナルによって、試薬を反応させてシグナルを発生させた直後にイメージングを実施する必要がなくなります。 撮影可能な時間が延長し、必要に応じて繰り返しイメージングを行うことが可能になることで、余裕を持って実験に取り組めます。

SignalBright Plus(カタログ番号:PK10012)等のさらに高感度な試薬を使用すると、超高感度検出によって優れたシグナルノイズ比(S/N比)を得られることから、少量サンプル中や発現量の低いターゲットタンパク質の可視化が可能になります。

Proteintech's SignalBright enhanced chemiluminescent (ECL) substrate signal duration graph shows over 5 hours of bright signal

図3. 50pgのHRPと反応させた各基質の発光強度(初期値の相対量)。SignalBright Pro(カタログ番号:PK10011)、SignalBright Plus(カタログ番号:PK10012)、SignalBright Max( カタログ番号:PK10013 )を使用して400分間経時的に測定した。 得られたシグナルは各基質のシグナルの最大値で正規化した。

イメージングシステム

WBにおける化学発光の検出はX線フィルム撮像装置やCCD(CCD:charge-coupled device、電荷結合素子)カメラによって実施します。 X線フィルムによる撮像は従来のイメージング手法であり、高感度な撮影が可能です。

しかし、この手法の欠点の1つに、各フィルムは一度しか使用できず、フィルムを現像してからでないと露光時間が適切であるか評価できないという点が挙げられます。 近年は露光時間の最適化が容易でダイナミックレンジが広いことから、検出手法としてCCDカメラを使用するのが一般的になっています。