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リモート大学院生の学位取得ガイド

Sepideh Dadkhah著(Kentucky大学、Ph.D. Candidate)


大学院生活には予期せぬ紆余曲折が生じるといわれています。世界規模のパンデミックとの遭遇や、多くの年月を研究に費やした後にプロジェクトのやり直しを余儀なくされる事態に陥る等、私自身もいくつかの例を見聞きしました。私がつい最近経験した転機ともいうべき予想外の展開は、夫が遠く離れた州で仕事に就いたということでした。アカデミアには研究者同士のカップル双方が地理的制約によってそれぞれが希望するキャリアを実現するのが困難な「Two-body problem」という問題が存在しますが、さらに2人の子供を抱える我が家の場合は「Four-body problem」ともいうべき課題に立ち向かわなければなりませんでした。私を知る人ならば、専攻した学科や指導教員が大学院在学中の私に理解を示し、親身にサポートしてくれたことについて聞き及んでいることでしょう。当時私に残された期間はあと1年でしたが、幸運なことに残されたタスクの大部分は収集データや撮影した顕微鏡画像の解析処理や整理、そして過酷とも思える論文執筆作業でした。さらに条件が上手く噛み合い、私はTeaching Assistant業務(学部生のサポート業務)が免除される学科のフェローシップを獲得しました。端的にいえば、研究プログラムの担当者や指導教員の厚意でリモートでの研究継続が認められたのです。本稿では、この半年あまりのリモート生活を通じて得られた知見や私自身の経験を紹介します。

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1. この局面も必ず乗り越えられる

まずは大きく深呼吸しましょう。研究室を後にする時はきっと涙がこぼれ(時には号泣し)、もう自分の居場所はなくなってしまうのだという気持ちになるかもしれません。2020年以前のことを憶えているならば、社会を混乱させた世界規模のパンデミックも記憶にあるはずです。パンデミック時のようなリモートワーク中心の環境は経験済みですし、現在は誰もがZoomの使い方を知っています。新たな環境に適応する時間を確保し、周囲の力も借りながらこのリモート期間を最大限に充実させましょう。

2. 計画を立てる

卒業という目標を予定通りに達成するには、それなりに綿密な計画を練っておく必要があります。卒業までにすべきTo Doリストを作成し、締め切りまでに達成できるような計画を立てましょう。私は、この計画にデータ解析・各章の執筆・図表の作成・その他やるべきタスクを含めました。リストの具体的な内容は取り組む研究課題によって異なりますが、重要なのは研究を完遂するにあたって必要なすべてのプロセスを洗い出してリスト化するという点です。こうして策定した計画は指導教員や研究指導・論文審査委員会のメンバーにも事前に共有しておく必要があります。このステップを重要視する理由は、今後の見通しを彼らと共有し、具体的な研究の進め方について理解してもらえる点にあります。また、策定した計画をブラッシュアップするためのフィードバックや適切な助言をもらえるというメリットもあります。

3. 集中できる場所を確保する

私にとって1番の課題だったのは、誘惑が少なく邪魔が入らない環境を見つけることでした。何ページにも及ぶ学位論文の執筆に集中すること以上に困難な作業が他にあるでしょうか?作業に没頭できる環境に辿りつくまでは、カフェ・公立図書館・地域の大学の学習ラウンジ等の様々な場所を試しました。そして、実際にラボに通う場合と同様に、適度に休憩をはさみつつ9時から17時までは作業に勤しむよう心がけました。あらかじめ決めたスケジュールを予定通りにこなすことで集中力が途切れるのを防ぎ、主体的にタスクを消化できるようになります。

4. キャリア形成に向けた人脈づくり

卒業後の就職活動を見据えて、人脈構築を怠らないように心がけましょう。大学から遠く離れた場所にいながら誰と人脈を構築できるのかと疑問に思うかもしれません。コロナ禍の数少ない良い側面として、現在でも様々なプログラムや会議がオンラインで開催されているという点があります。また、近隣の大学や研究施設との関わりを深めるのも1つの手段です。実際にキャンパスに通っていた頃と同様に、新たに出会う専門家や研究者と交流を深め、卒業後の就職先やキャリアアップの機会を模索していきましょう。

5. 積極的に交流を図る

あなたが内向的な研究者であれば、リモートの環境は天国のように感じるかもしれません。しかし、周囲のメンバーと日常の出来事等を何でも話したい賑やかなタイプの研究者であれば、リモート環境で寂しさを募らせ気が滅入ってしまうかもしれません。私にとって仲間の院生とのちょっとした雑談は大学院生活の中の大きな醍醐味であったため、それが失われてしまったことは少なからぬ痛手となりました。友人たちとの交流を保つためにも、Zoom等での定期的な「バーチャルランチ」を計画してみましょう。また、居住地で開催される一般公開の研究セミナーを探して参加すれば、地域の学生や研究者と出会う良いきっかけになるでしょう。人脈作りの絶好の機会にもなるはずです。

6. こまめにコミュニケーションを取る

繰り返しの言及になってしまいますが、私は素晴らしい指導教員に恵まれました。それでも、物理的に距離がある環境でこまめに連絡を取って同じ認識を共有・維持するのは容易ではありません。週1度のZoomのミーティングを習慣化したおかげで、モチベーションと責任感を維持して研究に取り組むことができ、指導教員のところへ直接足を運ぶのであればためらってしまったかもしれない研究の相談への心理的抵抗も解消されました。指導教員との定期的な打合せの計画を立て、必ずそれを継続しましょう。

7. 後ろめたい気持ちとの向き合い方

実際に研究室へ通うことがなくなってしまったので、私は論文執筆に多くの時間を費やしていることを証明しようと、必要以上に必死になりました。私生活でのトラブルや体調不良で思い通りに進まない週があると、私は指導教員に自分が体調を崩していることをわかってもらうために、医師の証明書を提出せずにはいられませんでした。また、学科の重要なセミナーやトレーニングセッションに参加する機会が失われることや、院生としての日常的な責務を果たせなくなることについても不安を感じました。私は論文執筆に専念し、通常の研究室生活をしていた場合でも論文執筆の段階では高い集中力が求められるのだと自分に言い聞かせることでこの感情を克服しました。また、所属する学科の最新情報を得られるオンラインのイベントには欠かさず参加するよう努めました。

振り返ってみると、私の研究プログラムのサポート体制と指導教員のおかげで、リモートでの取り組みは非常に有意義な経験となりました。研究とは地道なプロセスであり、当初の予想よりも多くの時間を要することも珍しくありません。達成したい目標をしっかり見据えながら忍耐強く向き合っていきましょう。予期せぬ事情によってリモートでの大学院生活を経験することになっても心配は不要です。環境の変化に対応するゆとりを持ち、「リモート大学院生」としての新しいワークスタイルを構築していきましょう。

 

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