学会用ポスターの作り方

学会発表用の印象的なポスターを作成するためのヒントを紹介します。


はじめに

学会発表用のポスターは、研究内容のコミュニケーションツールとしてだけではなく、研究者同士のネットワークの構築のためのツールとしても捉えることができます。学会には、その分野をリードする研究者やバイオテクノロジー企業のスポンサーを含む研究仲間が集まります。学会参加者は、ポスターセッション会場を一通り見てまわるはずです。そのため、学会参加者を惹きつけ、今後の進展につながるような会話のきっかけにつながる「アイキャッチ」のあるポスターを作成できているか確認する必要があります。またポスター発表は、所属する研究グループ以外の人々からフィードバックを得られる絶好の機会です。今後の実験方針や、将来的に論文を投稿する際に査読者から受ける指摘を予想する上で役に立ちます。

※本稿では、以下の英文記事を日本語訳して掲載しています。
https://www.ptglab.com/news/blog/how-to-make-a-scientific-conference-poster/

ポスターのデザインを考える

学会用ポスターは、研究内容を図表や写真でまとめたプレゼンテーションであり、あらかじめ提出した要旨と同じ内容が含まれている必要があります。ポスター作成時の重要なポイントは、演者がその場に立っていなくとも「何の研究対象を」、「なぜ」、「どのように」実験を行ったのか、ポスターを見るだけで理解できる程度の情報を含めることです。ポスターを対面で説明する際にさらに詳細な内容を直接伝えることができます。

  • Introduction/Background(緒言/背景):大きな図やグラフィックを使用することで、テキスト量を減らして、ポスターを目立つようにします。テキストを使用する場合、必要以上に専門用語が含まれる長い文章は避けましょう。ポスター内で使用される重要な用語をはじめに定義しておくことも重要です。
  • Aims(研究の目的):簡潔な箇条書きを使用します。取り組んでいるプロジェクト全体を通して目指す研究目標ではなく、ポスターで発表するデータに関する内容に焦点を当てた研究目的をまとめます。
  • Methods(方法):方法は簡潔にまとめ、それ自体が研究の重要なポイントでない限り(例:新しい技術の最適化方法等)、詳細な内容を書き連ねるのは避けましょう。
  • Results(結果):結果は最大で2~4項目程度にまとめ、それぞれの結果に簡潔明瞭なタイトルをつけることをおすすめします。
  • Conclusion(結論・今後の展望):明確で簡潔な箇条書きを使用して、その内容を幅広い研究背景と関連付けます。
  • References(参考文献)・Acknowledgments(謝辞):ポスターには必要最低限の重要な参考文献だけを記載すれば十分です。貴重なポスターのスペースを参考文献に費やす必要はありません。
  • Summary/Take-home message(概要/重要なメッセージ):研究についての概要や重要なメッセージを2~3文程度掲載しておくと、聴衆にポスター発表の概要を伝えることができ、聴衆が研究内容とその内容について質疑すべきかどうかを判断するのに役立つので効果的です。
  • Contact(連絡先):後日連絡を取れる方法を忘れずに記載しましょう。メールアドレスや必要に応じてSNSのアカウント名等を記載することをおすすめします。その際QRコードは極めて優れたツールです。
  • Sponsors(スポンサー):大学や政府の助成金事業・研究公募、あるいはプロテインテックが実施する渡航費用助成金事業のような、何らかの形で資金提供を受けた企業・団体名は必ず明記します。

ポスターを作成するために特別なソフトウェアを使用する必要はありません。パワーポイント(Microsoft PowerPoint)で作成することができます。

学会のガイドラインに従い、ポスターのサイズと向きを設定します。

例:「デザイン」タブ→「スライドのサイズ」→「ユーザー設定のスライドのサイズ」→「幅」と「高さ」を設定します(A0の場合:841mm x 1189mm、A1の場合:594mm x 841mm)。

内容を書き始める前に、ポスターの大まかなストーリーの下書きを作成します。聴衆を惹きつけられるように、データや情報を厳選します。図の凡例やキャプションは長くなりすぎないようにしましょう。各セクションをボックス等で囲んで要点をまとめ、論理的に体系づけることで、ポスターを見る人が内容を順に追って見ることができるようにします(人は左上から右下に向けて読み進める傾向があります)。

配色を意識することは、ポスターの印象を強く残すための効果的なテクニックです(配色に関して従うべき規定が大学または資金提供者側で用意されている場合は確認が必要です)。また、特別に注目してほしい部分に明るく鮮やかな色彩を追加しても良いでしょう。ただし、過剰な装飾はかえってポスターの内容をわかりづらくするため、やりすぎないように注意が必要です。

 

学会用ポスターの一例を示した図

図1:学会用ポスターの一例(注:ポスターの内容は架空の内容であり、実際の科学的研究に基づくものではありません)。

インパクトのあるポスター作成のための重要なヒント
  • 時間をかけて作成しましょう:優れたポスターを作る際には熟考と作業計画が必要となります。研究のどの部分に絞り込んで発表するのか、どのような図表を盛り込むのか、十分な時間をかけて綿密に計画を立てます。

  • 「大きく」キャッチ―なタイトルを考えましょう:十分に大きなフォントを使用して、手短で、単純明快な要点を押さえたタイトルにするよう心がけてください(卒業論文や投稿論文のタイトルとは別にポスター用のタイトルを考えます)。演題のタイトルは、聴衆にとって興味のある分野に関する発表か否かを判断するのに役立ちます。専門用語やあまり知られていない略語をタイトルに使用することは避けましょう。

  • 大きな図表を使用しましょう:小さな文字で埋め尽くされた図の少ないポスターに惹きつけられる人はいないでしょう。概要図であれ、研究に関連する画像であれ、大きな図表はポスターを目立つものにします。そうすることで、人々はポスターに目をとめて近づき、あなたの研究の詳細を知るためにテキスト部分を読んでみようという気になります。

  • 聴衆を考慮する必要があります:非常に広範な研究領域(例:神経科学、循環器系、がん)に関する学会に参加するのか、範囲の狭いニッチな領域(例:乳がん転移)に関する学会に参加するのかに応じて、発表内容を調整します。そうすることで、ポスター作成の具体的な案が見えてきます。

  • ポスター発表の練習をしましょう:ポスターに誰かが注目してくれれば、ポスターに書かれた内容の詳細を補完するために、プレゼンテーションを開始するチャンスの到来です。箇条書きにまとめた手に持てるメモを準備して、自分の研究内容を確実に伝えられるように準備と練習をしておきましょう。ポスターに掲載したデータに関する質問の答えや、さらに詳しい説明をできるように準備します。聴衆が飽きてしまわないように、ストーリー形式で研究を発表しましょう。

  • 学会ポスターのフォーマットに従ってください:縦長のポスターがたくさん並ぶ中で、自分のポスターだけが横長で悪目立ちするという事態は避けたいはずです。学会では、ポスターのサイズや向きに関する規定を定めているので、ガイドラインは必ず読むよう留意します。

  • 論文・LinkedIn・TwitterにアクセスできるQRコードを活用しましょう(※):QRコードは、学会で人気急上昇中のツールです。QRコードは、学会のポスターセッション後であっても、聴衆があなたの研究に関心を持ち続けるきっかけを作り、さらに人脈を広げる機会を与えてくれます。何らかの産業に携わる人々はLinkedInを熱心に使用し、アカデミアの人々はTwitterを使用する傾向があるようです。QRコードを活用する場合は、プロフィールが最新のものであるように留意します。

※ 学会発表用のポスターやスライドに対する写真撮影およびビデオ録画は、ほとんどの学会で禁止されています。ポスターやスライドにカメラを向ける行為自体も同様の行為とみなされる場合があります。QRコードの掲載を検討する場合、大会規約・規定等をご確認の上、各自の責任にてご判断をお願いします。

ヒント:オンライン形式の学会に参加する場合は、ポスターの文字数をさらに減らし、ハイパーリンク・実演・アニメーション・短編動画等を使用してデジタルフォーマットの利点を最大限に活用しましょう。

学会用ポスター作成にあたっての注意点
やるべきこと
してはいけないこと

シンプルで単刀直入な文章にする

専門用語・略語を多用する

箇条書きにする

小さな文字にする

ポスター発表の時間はポスターのそばにいる

過剰にデータを記載する

プレゼンテーションの練習をする

過度に画像を詰め込む

ストーリー性のあるポスターを心がける

むやみに沢山の色を使用する

Summary/Take-home message(要約・重要なメッセージ)の項目を設ける

 

誤字・脱字をチェックして、内容を校閲する

 

聴衆を歓迎し、熱意をもって接する

 

EメールやTwitter、LinkedIn等で、学会で出会った人と繋がる

 

Lucie Reboud著(マンチェスター大学博士課程在籍(がん領域)、プロテインテック インターン生)