ゲスト寄稿 | エボラ治療薬剤開発のための潜在的ターゲット分子

エボラ治療薬剤開発のための潜在的なターゲットについて述べます。

Simon Hackett著

昨日12月1日、エボラ出血熱の大流行が始まってちょうど1年を迎えました。現在西アフリカを席巻しているこのウイルス性伝染病は、これまでに5000人の死者を出しています。WHOは最近、この流行を「現代における最も深刻で重大な公衆衛生上の緊急事態」と表現しています1ここ数か月の間に、このウイルスは、感染した援助隊員を介して、スペインやアメリカなど、さらに遠くの国にまで広がっています。この流行がインフルエンザやHIVなどの他のウイルス性の流行と異なるのは、60~70%という驚異的な致死率だけでなく、この病気に関連した壊滅的な症状があることです。

エボラの流行は、その名の通り、フィロウイルスと呼ばれるウイルス群に属するエボラウイルスによって広げられています。エボラウイルスの起源は、フルーツコウモリと考えられていますが2、コウモリからヒトへの感染に至るまでの経路は、正確には解明されていません。エボラ出血熱が初めて発生したのは、1976年のスーダンで、それ以来、1995年にコンゴ民主共和国で、そして2007年に再び流行しています(ただし、現在の大流行よりもはるかに小規模なものです)。

回避する力

ほとんどのウイルスと同様に、エボラは、細胞膜上の特定の細胞表面受容体、特に内皮細胞3マクロファージ4に付着します。  その後、ウイルスのエンベロープは、細胞膜と融合し、その結果、細胞質気質へのウイルスの放出がもたらされます。細胞内に侵入した後、エボラウイルスは、非常に速い速度で複製します。これは、細胞が新しいタンパク質を合成する能力と宿主の免疫システムの両方を上回ります。ウイルスは、単球、樹状細胞、マクロファージなどの免疫細胞を標的とすることを好むことから、IL-1βTNFα、IL-6などの炎症性サイトカインが大量に放出されます。  これらのサイトカインの放出によって引き起こされる炎症促進性の状態は、内皮細胞の破壊とともに、血管の損傷と大量出血をもたらします。しかし、宿主細胞から炎症性サイトカインが大量に放出されているにもかかわらず、エボラウイルスは、インターフェロン産生をダウンレギュレートするVP35とVP24というタンパク質を発現させることで、インターフェロンの応答を回避することに成功しています5。研究者らは、インターフェロンと炎症促進性サイトカインに特異的なELISAを用いて、感染した動物のインターフェロンのレベルを定量化しました。エボラが免疫系による破壊を回避できるのは、このウイルスにそのような特徴があるからです。

サイトカイン検出が可能なプロテインテック社のSandwich ELISAキットについてご覧ください。

限定的なオプション

このウイルスの病態生理に関する多くの研究が行われているにもかかわらず、治療法オプションは限られているのが現状です。医師らは、元々はウイルス感染マウスに由来し、タバコ植物6で産生された3種類のキメラモノクローナル抗体7からなる実験薬ZMapp6で患者を治療することに一部成功しています。 しかし、ZMappの供給量は限られており、信じられないほど高価であることから、主に第三世界の国々を襲う病気にとっては大きなハードルとなっています。さらに、ZMappは、診療所での使用を承認するためには、通常、合格しなければならない厳しい薬剤臨床試験を受けていません。エボラの他の治療法は支持療法が多く、この病気に的を絞った治療が大いに必要とされています。

別のアプローチ

IFITMタンパク質のファミリーと同様に、BST2タンパク質(CD317としても知られています)もまた、ウイルスに対する宿主の保護に関与しています。BST2は、B細胞、形質細胞、形質細胞様樹状細胞で発現し、その発現はインターフェロン放出に起因します。BST2は、エボラをはじめとする感染した細胞から、出芽後のウイルス粒子拡散を阻害することが示されています9。治療の標的化に関しては、Yasuda9は、BST2の発現を誘導することで、感染者の抗ウイルス反応を誘導する新しいアプローチが可能であることを示唆しました。

エボラは、政府と研究者の双方にとって、人道的にも科学的にも大きな課題であることは明らかです。エボラの感染と細胞破壊の分子メカニズムを解明することで、この壊滅的な病気を制御するための標的治療法を開発し、最も必要とされる国で利用できるようにすることが期待されています。

エボラウイルス研究に関連する抗体

ターゲット カタログナンバー タイプ アプリケーション 文献
IL-1β 16806-1-AP PAb ELISA, WB, IHC, IF 6
IL-1β 60136-1-Ig MAb ELISA, WB, IHC 3
TNFα 60291-1-Ig MAb ELISA, WB, IHC, IF 3
IFITM1 11727-3-AP PAb ELISA, WB, IHC 8
IFITM1 60074-1-Ig MAb ELISA, WB, IHC, IP 6
IFITM2 12769-1-AP PAb ELISA, WB, IHC, IF, IP 10
IFITM2 66137-1-Ig MAb ELISA, WB, FC 1
IFITM3 11714-1-AP PAb ELISA, WB, IHC, IP 17
IFITM3 66081-1-Ig MAb ELISA, WB, IHC, IF, FC
BST2 13560-1-AP PAb ELISA, WB, IHC, IF, FC 5

 

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Posted:
2 December, 2014

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